宝物
アニメも商品である。
当たり前の話である。
誰かが求めるものを描く、でなければこんなにも物が売れない時代に人気も売り上げも上がるはずがない。
優しい世界を描いた作品が何故人気が出たのか。
それはそれを鑑賞した人がそれに共感したからに他ならない。
自分を取り巻くリアルでは、誰もが人よりも優れていないと価値がないという判断をする。
『使えない』そう言って自分よりも下の人を作って安心していく。
それが大多数の日常である。
精神が擦り切れ心が休まる暇などない。
だから誰かに言って欲しかったのだ。
『得意な事は皆違う。あなたがいてくれて本当に良かった』と。
そんな救われる言葉を誰もが欲している。
友人、肉親、伴侶から。
現実でもらえないそんな言葉をアニメでもらう事で、もしかしたらと心が豊かになったのだ。
希望が見えたのだ。
だからあのアニメは大事な宝物になった。
たかがアニメ。
たかがフィクション。
でも大事な宝物だった。
だからこそ皆傷付き悲しみ怒ったのだ。
騒動の最中に、そんなものは忘れて他の作品を見れば良いと言っていた創作者がいたが、創作者のくせに何と創造力が乏しいのか。
その人の作品は今後も見る事はないと思う。